社会人としてのスタート
高校を卒業後、僕は大手企業の特例子会社に就職しました。配属先は清掃部門。事務職の人もいましたが、僕は清掃を担当することになりました。
「これからは社会人なんだ!お金がもらえるんだ!」
親からお小遣いをもらうことが少なかった僕にとって、給料は本当に嬉しかったです。
1班5〜6人で建物を清掃し、同期は5人。仲も良く、休みの日にサイゼリヤや焼肉屋に行くこともありました。
特に、1歳年上の先輩社員とはとても仲良くしてもらっていました。その人は誰に対しても敬語で接する謙虚な人で、困っている人には最善の言葉をかけてくれるような人でした。障害があるとは思えないほど、他人の気持ちを思いやれる人で、僕にとって憧れの存在でした。
「ゆとむ君は真面目で、仕事も丁寧でしっかりしてるよ」
そんな風に声をかけてくれるその人の言葉に、何度も救われました。一緒に昼食を食べたり、帰り道に話したり。その時間が、僕にとっては仕事の楽しみでもありました。
そのおかげもあって、入社2年目にはリーダー格に抜擢され、会社から高く評価されました。
僕を襲った鬱と挫折
しかし、順調な生活は長くは続きませんでした。
20歳のとき、僕はうつ病になりました。原因はいくつも重なっていて、
- リーダー職のプレッシャーと失敗
- 仲の良かった友人との絶縁
- 兄の自殺未遂
いくつもの出来事が同時に起きたことで、心がついていけなくなったのです。
次第に、僕は人に八つ当たりをするようになりました。仲の良かった先輩に冷たく当たったり、同僚のミスをネタにして笑いを取ろうとしたり。そんな自分が嫌で、自己嫌悪にも陥りました。
会社の評価も下がり、精神科にも通い始めました。
「こんなに落ちるんだな…」と、思わず笑ってしまうくらいでした。
それでも会社には通い続けました。心が空っぽのまま、ただ毎日をやり過ごしていました。
そして転機が訪れた
そんなある日、上司から呼び出されました。
「ゆとむさん、ゴールデンウィーク明けから会社内のコンビニに2年間異動になります」
正直、驚きました。
コンビニ業務は、知的障害者にとっては難易度が高い仕事の一つです。特にレジ打ちは、金額のミスが命取りになります。
「自分にできるのだろうか…?」
不安の中、5月からコンビニ勤務が始まりました。最初の1ヶ月は、レジには立たず揚げ物、品出し、清掃などを担当しました。
そして、いよいよレジデビュー。
ボタンの押し間違い、無言でお金を受け取る、数え間違いによるお釣りミス、レジに列ができてしまうなど、最初は失敗ばかりでした。実際、何度もレジのお金が合わないこともありました。
ただ、幸いにも責める人はいませんでした。原因が自分とは限らないにしても、申し訳なさは常にありました。
実際、これまで2回、お客様から「お釣りが違います」と指摘されたことがあります。きっと、それ以外にも気づかないうちにたくさんミスをしてきたと思います、そんなこんなでコンビニ店員として2年が経ってもう終わりだろうなと思っていましたが、
店長が
「もう1年居てほしい」
と言ってくれました。その言葉を上司にも伝えてくれたと聞き、「お世辞じゃないんだ」と本当に嬉しくなりました。
これから
このコンビニでの経験もまだ途中です。ここでは省略した部分もたくさんあるので、また別の記事で続きを書こうと思います。
ここまで読んでくれて、本当にありがとうございました。
コメント